
2026年の女子バレー・アジア選手権で、タイ代表が新たな歴史を作りました。
準決勝で日本を3-1で破り、さらに決勝ではなんと!開催国の中国をフルセットの末に3-2で撃破。
アジア選手権を制するとともに、2028年ロサンゼルス五輪への出場権を獲得しました。
しかも、タイ女子代表にとっては初めてのオリンピック出場です。
【#アジア選手権】🇹🇭タイが大会連覇でロス五輪切符獲得‼️開催国🇨🇳中国にフルセットの激闘の末 勝利🔥日本は銅メダル
— TBS バレーボール (@TBSvolleyboo) August 30, 2026
🇹🇭タイ3-2中国🇨🇳(25-20,11-25,23-25,25-18,15-10)https://t.co/8TRPb4A84S
大会前は、日本と中国が優勝候補の中心と考えていた方も多かったのではないでしょうか。
私も「決勝は日本対中国」と思っていました。
ところが、その両チームを続けて倒したのがタイです。
なぜタイ女子バレーはここまで強かったかを試合を振り返りながら、考えてみたいと思います。
タイは準決勝で日本、決勝で中国を撃破
まず驚かされたのが、準決勝の日本戦。
日本は準決勝まで非常に順調な戦いを続けていました。
一方のタイも、これまでアジア選手権で何度も優勝している強豪国ですから、決して侮れない相手です。
それでも世界ランキングや近年の成績を考えると、私と同じように「日本が勝つのでは」と予想していた方は多かったと思います。
しかし準決勝では、タイが日本を3-1で撃破しました。
そして、決勝。
今度は中国をフルセットの末に3-2で破りました。
日本と中国を連続して破っての優勝です。
タイが強かった5つの理由
こうなると「日本がタイに取りこぼした」というよりも、今大会のタイが本当に強かったと考えた方が自然ですよね。
理由①長年一緒に戦ってきたメンバーの完成度が高い
タイの強さを考えるうえで、まず大きいのがチームとしての完成度です。
タイには、ポーンプン・グーパート選手、チャッチュオン・モクシー選手、アチャラポーン・コンヨット選手、ピムピチャヤ・コクラム選手、タットダオ・ヌクジャン選手、ピヤヌット・パンノイ選手など、国際大会を長く経験してきた選手がそろっています。
特にセッターのポーンプン選手を中心としたコンビバレーは、タイの大きな武器。
高さでは中国に劣ります。
そこでタイは、高いブロックと正面から力比べをするのではなく、速いトス回しでブロックが完成する前に攻撃するスタイルを徹底しています。
長く一緒にプレーしているからこそできる、タイミングの合った攻撃ですよね。
個々の高さやパワーでは中国が上でも、中国は世代交代の最中。
ところがタイは息のあったコンビなどチームとして連係が抜群だったわけです。
短期決戦の国際大会では、この「完成度」が非常に大きかったのではないでしょうか。
理由②攻撃だけでなく守備とブロックが強かった
タイというと、「小柄だけれど、よく拾うチーム」というイメージ。
もちろん守備力は今回も健在でした。
しかし、それだけではありません。
日本戦ではウイングからの攻撃、守備、ブロック、サーブがうまくかみ合い、日本にプレッシャーをかけ続けました。
さらに中国との決勝でも、タイのブロックが大きな武器になっています。
高さのある中国相手に、タイがブロックでもしっかり対抗していたのは印象的でした。
つまり、今のタイは単純に「拾ってつなぐだけのチーム」ではありません。
守備で粘り、相手の攻撃を読みながらブロックし、そこから速い攻撃へ切り替えるという攻守のバランスが良かったことも、日本と中国を連破できた理由の一つだと思います。
理由③ラリーになるほどタイの持ち味が出た
タイと対戦すると厄介なのが、簡単にはボールが落ちないことです。
一度決まったと思ったスパイクを拾われる。
もう一度攻撃する。
それも拾われる。
こんなラリーが続けば、攻撃する側としては少しずつ焦りが出てきます。
「もっと強く打たないと」
「もっと厳しいコースを狙わないと」
そうすると、無理な攻撃が増えてミスにつながることもあります。
一方のタイは、ラリーが続く中で守備を整え、セッターのポーンプン選手にボールが返れば一気に速い攻撃へ切り替えます。
日本が得意としてきた「拾って、つないで、切り返す」というバレーを、今回はむしろタイにやられたような印象さえありました。
理由④中国戦で見せた精神的な強さ
今回のタイで特に印象的だったのが、中国との決勝で簡単に崩れなかったことです。
タイは第1セットを先取したものの、第2セットでは中国に大差をつけられて落としました。
さらに第3セットも中国が奪い、タイはセットカウント1-2と追い込まれます。
普通なら、ここで中国の流れになってもおかしくありません。
しかも中国で開催されているので、完全なアウェーの雰囲気です。
それでもタイは崩れませんでした。
第4セットを取り返し、最終第5セットへ。
勝負どころではブロックやサーブでも中国にプレッシャーをかけ、最後はタイが勝ち切りました。
大差でセットを落としても、そのまま試合全体まで崩れない。
そして、もう一度自分たちのバレーに戻れるという精神的な強さも、今回のタイの大きな武器だったのではないでしょうか。
理由⑤実はタイは突然強くなったわけではない
今回初めてタイの強さに驚いた方もいるかもしれません。
しかし、実はタイは以前からアジアの強豪国。
アジア選手権は基本的に2年に1度開催されており、タイは過去にも何度も優勝を経験しています。
特に2023年大会では、中国を破って優勝しました。
つまり、今回だけ突然中国に勝ったわけではありません。
長い時間をかけて日本や中国と戦えるチームを作り、その積み重ねが今回の結果につながったと見る方が自然です。
世界ランキングだけを見ると、日本や中国より下にいるタイ。
それでも一発勝負の大会では、ランキングだけでは測れないチームとしての完成度があります。
タイの強さは「高さ」ではなく「完成度」
タイが日本と中国を連破した理由をまとめると、次のようになります。
- 長年一緒に戦ってきた選手たちの連係
- ポーンプン選手を中心とした速いコンビバレー
- 粘り強い守備とブロック
- ラリーから一気に切り返す攻撃力
- 劣勢になっても崩れない精神力
特に中国との決勝は、タイの強さを象徴する試合だったと思います。
高さやパワーだけを比べれば、中国の方が上でしょう。
それでも、チームとしての完成度、守備、コンビ、そして勝負どころでの強さでタイが上回りました。
だからこそ、日本と中国を続けて倒すことができたのだと思います。
そして何よりすごいのは、今回の優勝によってタイ女子代表が史上初めてオリンピックの出場権を獲得したことです。
2028年ロサンゼルス五輪では、日本や中国だけでなく、タイもアジアを代表する注目チームになりそうですね。